軍手

これは、道ばたに落ちていた軍手。
雨に濡れていた。

その前の日、店の前に黒い手袋が落ちていたので
そこの前の駐車場のフェンスに掛けておいた。

ところが、この同じ手袋でも私は拾うこともせず、そのまま通り過ぎた。二、三歩進んで少しだけ迷ったがそのまま通り過ぎた。
気になっていた私は次の日もその次の日もその軍手が道路のほぼ真ん中にそのままなのが嫌で、近くの家の前の生け込みの石積みの上に置いておいた。そして、一週間を過ぎ、今日、その軍手は石積みの下に落ちていた。
何故かほっとして私はそれを拾い、店に持って帰り、ゴミ箱の葬った。
店のスタッフ「キッシー」は生き物など、とても命に優しい!このキッシーにこの軍手を見せて聞いてみた。
「キッシーだったらどうする?」って・・瞬時に
「拾わない!」だった。

私は今も何か自分の行動とうち捨てられた軍手の運命に付いて釈然としないままでいる。

ちなみにフェンスに掛けておいた黒い女物の手袋はいつの間にかそこにはなかった。
多分今日も2万人に達しようとしているパレスチナ人がいる。兵士達はその手に手袋ではなく「軍手」をしているはずである。
しかも、寒さに震える子供達の手にはその「軍手」さえもない。
それが、今この地球上で起きている、人間が起している「戦争」の姿なのである。            HIRO