オーダーメイドフラワーアレンジメント|ベティ・ブーフ(Betty Boof)


店主ながのひろゆきからのメッセージです。

今日までの花束たちへ

花屋という仕事をして40年目になろうとしています。はじめは花屋になろうと思った訳ではなく、花に関する仕事をと思った位だったのです。それでもその当時の私は、もう私が選ぶ仕事としてはこれしかない、という気持ちでいたことも確かです。

とびこみで仕事を頂いた京都「たち吉」さんをはじめ、京都の大丸さんで桜の花のドライフラワーを使ってのワンフロア―全体のディスプレー、高島屋さんで金色のバラのディスプレー等をさせて頂いたことは懐かしい思い出です。オーダーメードのみで作り置きしないスタンス、「花束もアレンジも注文後5分以内でつくる」が可能なのもこういったところでの経験のおかげです。カメラマンの立木さん、十朱幸代さんとグラビアの花をさせて頂いたりできたのも、瞬間で必要なものを準備するというパフォーマンス的な技術を身につけたお陰だろうと思います。

それでも、当初、花の仕入れがうまくないため、赤字ばっかり。残った花を車に積んで売り歩くようになりました。「花を置いておく場所」これが花屋をはじめるキッカケとなりました。

東京生まれの東京育ちの私が関西、しかも京都という土地で(何故?は、さて置き・・・話が長くなりすぎるので)商売をやって行くというのは大変だと覚悟はしていましたが、本当に大変でした。

何の縁故、知り合い、友人もいない土地で、初めて持った小さなお店は山科の駅前、お手洗いもない2坪程のものでした。

私に「商いをするとはどういうことなのか」を教えてくれたこんな事がありました。ある雪の降る日、誰もお客様のないその日、帰ろうと思った時、一輪の花を買って下さったお客様がありました。その後ろ姿に自然に深々と頭を下げる私がありました。初めて知った商売の厳しさと嬉しさは、一生忘れられない想い出であり、忘れてはならない「お客様に支えられている」という事でした。

そして、同じ一輪の花を買って頂くのに、どうしたら私の店にも来て頂けるのかを考え続けて辿り着いたのが、花のラッピングでした。今ではどこの花屋さんでもしていることですが、当時はそんな紙もなければ、メーカーや問屋さんにいっても取りあってもらえないような状況でした。それどころか、けげんな顔をされるばかりでした。

リスクを覚悟でやっとのことで思うような紙を手にすることが出来、それで花を包んで花束をつくった時の感激は、今でも忘れられません。それから、わざわざお店を訪ねて下さるお客様が増えました。それでも、「紙でラッピング?・・いや、セロファンでやって!」というお客様も依然として居られましたが。

“くくり”と呼ぶ仏花や榊を売り、樒を売る、いつも小菊が3色、大菊が3色置いてある。それを一度ぜーんぶご破算にして、本当に納得できる花屋の仕事に切りかえ、はじめから、やり直しました。
今のベティ・ブーフの始まりです。「当たり前」と思っていることが実は狭い地域だけのものだと言う事や、様々なお客様の思込みとそれまでの花屋の思込みをまっ白にする。ベティ・ブーフのそんな仕事が今もつづいています。

何十年もお店でがんばっている「国産の花を是非買ってください」と言うメッセージも言っているうちは駄目です。この何十年の間に国内の花の生産者は半減しました。日本の国の風習で使われる「榊」「姫榊」「樒」なども薬漬けのものが平気でスーパーなどで安売りされています。食ばかりでなく何もかもよその国任せにして品質の悪いものが増える。当然農薬が無制限にばら撒かれた人にも環境にも悪い状況で作られた花が「安さ」だけを追求する風潮に乗って流通していっています。
まだまだ皆さんにこれがどんなに大切な事なのかを知って頂く努力がいるようです。

また、「花屋は香りも売っていますので・・・」と言うお願いが大変な時代がありました。ちなみに、未だに花の市場でこの禁煙が守られていないところがあります。煙草のけむりはいっぺんで花の香りを台無しにしてしまいます。扱う「花」という活きた商品、これを大切に出来ない花業界等ありえる筈がありません。

誰かが言わなければ・・・誰も・・・。誰かやらなければ誰もやらないまま終わってしまうかもしれない。そして、この「花屋」という仕事もただの儲けを目的にするだけのものになっていって終いには街から消えていくのだとしたらこんな寂しいことはありません。

その中にあって農薬を控え、大切に花を楽しく作っておられる生産者の方もおられます。もし「お花屋さん」が本当にいつまでもこの世界にあっていいとすれば、どんな花屋なのか、そしてお客様に本当に喜んで頂ける花屋とは、どんなものなのか、「街角を彩る花屋」として「みんなを元気にする花屋」としてベティ・ブーフはいつも考え続け、夢を求め続ける花屋でありたいと思っています。

花屋は花のデザイナーよりプロでなければならない。何故なら、花屋はお客様ひとりひとりの要望にベストで応えられなければならないから」ベティ・ブーフのこのスタンスはこれからも変わることなく、より皆さんに喜んで頂ける仕事をさせて頂いてまいります。

このメッセージは今から26年前に初めて書かせて頂いたものを今回、ホームページという媒介に改めて載せるため、一部書き改めました。

2014.11.01

ながの ひろゆき